「耳に水が入ったような感じがする」「耳が詰まっているようで音がこもって聞こえる」と感じたことはありませんか?
耳が詰まった感じがすると、耳垢がたまっているだけだと思って耳掃除をする人もいるかもしれません。しかし、耳の詰まり感は、耳垢だけでなく、聴力の低下や内耳の病気などが原因で起こることもあります。
その中の一つが、低音障害型感音難聴です。
低音障害型感音難聴は、低い音を中心に聞こえにくくなる難聴で、「耳が詰まった感じ」「低い音が聞き取りにくい」「自分の声が響いて聞こえる」などの症状がみられることがあります。
この記事では、低音障害型感音難聴について知らない人にも分かるように、症状や原因、メニエール病・突発性難聴との違い、診断や治療、病院を受診する目安まで詳しく解説します。
耳が詰まった感じや、低い音の聞こえにくさはありませんか?

耳の詰まり感や低い音の聞こえにくさは、低音障害型感音難聴でみられる代表的な症状の一つです。ただし、耳垢や中耳の病気など、別の原因でも似た症状が起こります。
まずは、どのような症状があると低音障害型感音難聴の可能性を考えるのか確認してみましょう。
こんな症状があるなら注意
- 耳が詰まったように感じる
- 耳に水が入ったような感じがする
- 低い声や低い音が聞こえにくい
- 自分の声が耳の中で響く
- 耳鳴りがする
- 急に片耳の聞こえ方がおかしくなった
- 聞こえたり聞こえにくくなったりする
こんな症状はありませんか?
耳が詰まっていると思って耳掃除をしても改善されないなんてことはないでしょうか?
実は耳が詰まっているだけだと思ったら聴力が落ちていたなんてことがあります。
低音障害型感音難聴とは?

低音障害型感音難聴は、低い音域を中心に聴力が低下するタイプの感音難聴です。
一般的な難聴とは聞こえにくくなる音域が異なることがあり、「音は聞こえるけれど、耳が詰まったように感じる」という症状から気づく人もいます。ここでは、低音障害型感音難聴の特徴を初心者向けに説明します。
「低音」が聞こえにくくなる感音難聴
感音性難聴とは主に内耳に問題があることで生じる難聴です。
低音障害型感音性難聴は言葉の通り、低い音が聞き取りにくくなる感音性難聴のことを言います。
感音性難聴について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
普通の難聴とは何が違う?
感音難聴にはさまざまなタイプがありますが、加齢による難聴などでは高い音から聞こえにくくなることがあります。一方、低音障害型感音難聴では低い音域の聴力が低下します。
高い音が聞き取りづらくなると音自体は聞こえていても相手が何を言っているのか分かりにくくなります。
それに対して低音障害型感音性難聴は低い音音が聞き取りにくくなります。
| 音の高さ | 聞こえ方 |
| 低い音 | 聞こえにくい |
| 中くらいの音 | 比較的聞こえる |
| 高い音 | 比較的聞こえる |
急性あるいは突発的に発症することが多く、数日以内など比較的短い期間で聞こえ方が変化します。また、難聴の程度も軽度から中度難聴になります。
低音障害型感音難聴ではどんな症状が出る?

低音障害型感音難聴では、単純に「音が小さく聞こえる」というだけではなく、耳が詰まった感じや自分の声が響く感じなど、さまざまな症状が現れることがあります。ここでは、代表的な症状を一つずつ紹介します。
耳が詰まったように感じる
低音障害型感音性難聴では単純に聞こえにくくなったというよりは耳が詰まったように感じる症状が多いです。低音の聴力が落ちると音がこもったように聞こえるので、詰まったように感じます。
低い音が聞こえにくくなる
低音障害型感音難聴では、125Hz・250Hz・500Hzなどの低い音域の聴力が低下します。
125Hzから500Hzの音とは男性の低い声や太鼓・楽器の低い音などに含まれる「低い音」の範囲です。この辺りの音が聞き取りにくくなります。
耳鳴りがする
耳鳴りも低音障害型感音性難聴ではよく見られる症状です。耳鳴りというとキーンという高い音のイメージですが、低音障害型感音性難聴では低い音での耳鳴りが多くなります。
自分の声が響いて聞こえることがある
私たちは自分の声を耳からの音(これを気導と呼びます)と骨からの振動(これを骨導といいます)の2つの経路から聞いています。録音した自分の声が自分が話している感覚と違うように聞こえるのは骨導がないからです。
低音の聞こえ方が変化することで、普段とは自分の声の聞こえ方も変わり、「自分の声が耳の中で響く」「声がこもって聞こえる」と感じることがあります。
基本的にめまいは伴わない
低音障害型感音難聴では、基本的にめまいを伴わないとされています。ただし、軽いめまい感を訴える人もいます。強いめまいや繰り返すめまいがある場合は、メニエール病など別の病気との区別が必要です。
内耳では聞く以外にもバランスを取るための器官があります。低音障害型感音性難聴ではこの内耳の体液がバランスを崩してめまいが起こることがあります。
ただ低音障害型感音性難聴では必ずめまいが起こるわけではないので、めまいがないから低音障害型感音性難聴じゃないと判断しないほうがいいです。
なぜ低音障害型感音難聴になるの?
低音障害型感音難聴は、原因がはっきり分からないケースも少なくありません。一方で、内耳の中にある「内リンパ」という体液の状態が変化することなどが関係していると考えられています。ここでは、現在考えられている原因や、メニエール病との関係について解説します。
原因がはっきり分からないことも多い
低音障害型感音難聴は、原因がはっきり分からないケースも多く、内耳の状態など複数の要因が関係していると考えられています。
内耳の状態が関係していると考えられている
内耳には内リンパと呼ばれる体液があり、通常はこの液体が最適な量や圧力に保たれています。内リンパの量や圧力などのバランスが変化する内リンパ水腫が、低音障害型感音難聴に関係していると考えられています。
メニエール病との関係は?
メニエール病という病気を聞いたことありますか?たまにプロの歌手がメニエール病で活動休止といったニュースになったりします。
低音障害型感音難聴とメニエール病には、内耳の内リンパ水腫が関係していると考えられているという共通点があります。
内リンパ水腫とは内リンパが過剰になっている状態をいいます。
ただし、低音障害型感音難聴とメニエール病は同じ病気ではありません。急性低音障害型感音難聴では、基本的にめまいを伴わないとされています。一方、メニエール病では、難聴や耳鳴り、耳閉感に加えて、繰り返すめまいが特徴です。
低音障害型感音難聴を繰り返す人の中には、後にメニエール病と診断されるケースもあります。そのため、低音の聞こえにくさだけでなく、めまいが繰り返し起こるかどうかなど、症状の経過を確認することが大切です。
メニエール病について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
低音障害型感音難聴と突発性難聴の違い
| 比較項目 | 低音障害型感音難聴 | 突発性難聴 |
| 聞こえにくくなる音域 | 低音が中心 | さまざま |
| 耳閉感 | 起こりやすい | 起こることがある |
| 耳鳴り | 起こることがある | 起こることがある |
| めまい | 基本的には伴わない | 伴うことがある |
| 聴力の変化 | 改善・変動・反復することがある | 一般に反復しない |
| メニエール病との関係 | 関係する場合がある | ― |
急性低音障害型感音難聴は、突発性難聴とは異なる疾患として扱われています。研究でも両者には年齢分布や聴力の特徴、経過などに違いが報告されています。
突発性難聴について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
低音障害型感音難聴はどうやって診断する?
耳が詰まった感じだけでは、その原因が低音障害型感音難聴なのか、耳垢や中耳の病気などによるものなのかを自分で判断するのは難しいです。耳鼻咽喉科では、耳の状態を確認したり聴力検査を行ったりして、どの音がどの程度聞こえているのかを調べます。また、ほかの病気の可能性についても確認します。
耳鼻咽喉科で診察を受ける
耳の詰まった感覚が治らないと感じたら早めに耳鼻科を受診しましょう。耳掃除をしていても耳垢を押し込んでしまっているだけというケースもあるので、低音障害型感音性難聴でなくても耳鼻科を受診することをおすすめします。
純音聴力検査で音の高さごとの聞こえ方を調べる
普段健康診断などで行う、ピーという音を聞く検査が純音検査です。多くの場合は2000Hzや4000Hzといった高い音がどのくらいの大きさで聞こえるかをみていますが、純音検査はしっかりやると低い音から高い音まで幅広く調べることができます。まずは耳鼻科でどの音がどのくらいの大きさで聞こえるかを確認しましょう。
聴力検査について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
ほかの病気の可能性も確認する
耳が詰まったような感覚だけだと色々な可能性があります。そのため、自分だけでは判断せずに今の状況を整理して専門医に判断してもらいましょう。
低音障害型感音難聴の治療

低音障害型感音難聴の治療は、すべての人に同じ方法を行うわけではありません。聴力の状態や症状、発症からの経過などを確認したうえで、薬による治療や経過観察などが行われます。ここでは、代表的な治療方法と、症状を繰り返す場合について説明します。
症状や聴力の状態に応じて治療する
低音障害型感音性難聴では一律にこうですという治療法はなく、症状や聴力などの状況によって治療がかわります。
基本的には低音障害型感音性難聴の場合、内リンパ水腫が関係しているケースを疑い、そこに作用するような治療が多いです。
薬による治療
低音障害型感音性難聴の治療では薬による治療ががあります。
症状によりどのような薬が使われるかは医師が判断します。代表的な薬としては
- 副腎皮質ステロイド
- イソソルビドなどの浸透圧利尿薬
- ATP製剤
- ビタミン製剤
があげられます。
治療法は一律ではなく、聴力や症状、発症からの経過などを考慮して医師が治療方法を判断します。代表的な薬でもすべての患者で明確な聴力改善効果が確認されたわけではありません。
経過を確認しながら聴力検査を行う
低音障害型感音難聴では、いったん改善しても再び聴力が低下することがあります。そのため、経過を確認しながら聴力検査を行います。
繰り返す場合はどうする?
繰り返し低音障害が起こるケースでは、将来的にメニエール病との関連が問題になることもあります。必ずなるわけではありませんが、医師に相談しましょう。
低音障害型感音難聴は自然に治る?
低音障害型感音難聴では、時間の経過とともに聴力が改善するケースがあります。ただし、すべての人が自然に治るわけではなく、一度改善しても再び症状が出ることがあります。「自然に治ることがあるから病院に行かなくてもいい」と考えず、聞こえ方が変化した場合には原因を確認することが大切です。
改善するケースもある
低音障害型感音難聴は、自然に聴力が改善することがあります。しかし、すべての人が自然に治るわけではありません。
そのため、自然に治るかもしれないからと自己判断して様子を見るのではなく、聞こえ方に変化を感じたら耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けることが大切です。
特に、急に耳が聞こえにくくなった場合や、耳鳴り・耳が詰まった感じ・めまいなどを伴う場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
一度改善しても再び症状が出ることがある
低音障害型感音難聴では、時間の経過とともに聴力が改善するケースがあります。ですが、何度も繰り返す可能性もあるので、治ったから大丈夫なわけではないです。
低音が聞こえにくいときは病院に行くべき?

「耳が詰まっているだけかもしれない」と思っても、実際には聴力が低下していることがあります。特に、突然聞こえ方が変わった場合や、耳鳴り・めまいを伴う場合、症状を何度も繰り返す場合は、早めに耳鼻咽喉科で調べてもらうことが大切です。ここでは、症状ごとの受診の目安を紹介します。
突然聞こえ方がおかしくなった場合
「朝起きたら片耳が聞こえにくい」「急に音がこもって聞こえる」など、突然聞こえ方が変わった場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。突発性難聴など、早期に診断・治療することが重要な病気が含まれているためです。「そのうち治るかもしれない」と自己判断して、何日も様子を見るのは避けたほうがよいでしょう。
耳が詰まった感じが続く場合
耳が詰まった感じは、耳あかや中耳の病気などでも起こります。一方で、低音障害型感音難聴やメニエール病など、内耳の病気でもみられる症状です。
一時的に起こってすぐに改善する場合は別として、耳の詰まり感が続く、何度も繰り返す、聞こえにくさを伴うといった場合は、耳鼻咽喉科で調べてもらいましょう。
耳鳴りやめまいを伴う場合
耳の詰まりや聞こえにくさに加えて、耳鳴りやめまいがある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
低音障害型感音難聴だけでなく、メニエール病や突発性難聴など、別の病気が関係している可能性もあるためです。
特に、めまいを繰り返している場合は、症状の経過や聴力の変化を確認することが大切です。なお、めまいに加えて、ろれつが回らない、手足の麻痺やしびれ、意識障害、激しい頭痛などがある場合は、脳の病気の可能性もあるため、救急対応が必要になることがあります。
何度も繰り返す場合
低音障害型感音難聴は、いったん改善しても再び聞こえにくくなることがあります。また、低音の聞こえにくさを繰り返し、さらにめまいを繰り返す場合には、メニエール病との関係を確認する必要があります。「また自然に治ったから大丈夫」と考えず、何度も繰り返している場合は、一度耳鼻咽喉科を受診して、聴力検査などを受けることをおすすめします。
低音障害型感音難聴と間違えやすい病気
- 耳垢による耳閉感
- 中耳炎
- 耳管機能の問題
- 突発性難聴
- メニエール病
- その他の急性感音難聴
などがあります。
| 病気・原因 | 主な特徴 | 低音障害型感音難聴との違い |
| 耳垢による耳閉感 | 耳垢がたまることで、耳が詰まった感じや聞こえにくさが起こる | 耳垢を取り除くことで改善することがある |
| 中耳炎 | 鼓膜の奥に炎症や液体がたまり、耳の痛み・耳閉感・難聴などが起こる | 中耳の問題であり、低音障害型感音難聴は主に内耳の問題 |
| 耳管機能の問題 | 耳抜きがうまくできず、耳が詰まる・こもる・自分の声が響くなどの症状が出る | 気圧変化や鼻・喉の状態などが関係することがある |
| 突発性難聴 | ある日突然、片耳の聞こえが悪くなる。耳鳴りやめまいを伴うこともある | 急に聞こえなくなった場合は早期受診が重要 |
| メニエール病 | 難聴・耳鳴り・耳閉感に加えて、繰り返すめまいが特徴 | 低音障害型感音難聴と共通する症状があり、経過を含めて鑑別する |
| その他の急性感音難聴 | 急に聞こえが悪くなる感音難聴には、さまざまな原因がある | 原因によって治療や経過が異なるため、自己判断は難しい |
低音障害型感音難聴についてよくある質問
低音障害型感音難聴について調べていると、「自然に治る?」「再発する?」「メニエール病とは違う?」「突発性難聴なの?」など、さまざまな疑問が出てくると思います。ここでは、低音障害型感音難聴についてよくある質問を初心者向けに分かりやすく回答します。
低音障害型感音難聴は治りますか?
薬や場合によっては自然治癒でも治る場合があります。ただ必ず治るわけではないので、放置しておけばいいということではありません。必ず耳鼻科を受診しましょう。
低音障害型感音難聴は再発しますか?
低音障害型感音難聴を繰り返す人の中には、後にメニエール病と診断されるケースがあります。ただし、繰り返したからといって必ずメニエール病になるわけではありません。
低音障害型感音難聴とメニエール病は同じですか?
どちらも内リンパ水腫が原因として考えられますが、同じ病気ではありません。低音障害型感音性難聴ではめまいがない場合もありますが、メニエール病では難聴に加えてめまいや耳の閉塞感が伴います。
低音障害型感音難聴は突発性難聴ですか?
低音障害型感音難聴は、急性あるいは突発性に発症することがありますが、突発性難聴とは基本的に別の疾患として扱われます。
耳が詰まるだけでも低音障害型感音難聴の可能性がありますか?
耳が詰まる感じだけでは低音障害型感音性難聴とは言い切れません。耳垢の詰まりなど、色々な原因が考えられます。
低音が聞こえないときは何科を受診すればいいですか?
低音が聞き取りづらく、音がこもって聞こえる場合には耳鼻科を受診しましょう。
まとめ
低音障害型感音難聴は、低い音域を中心に聴力が低下する感音難聴です。「耳が詰まったように感じる」「耳に水が入ったような感じがする」「低い音や低い声が聞き取りにくい」「自分の声が耳の中で響く」といった症状から気づくことがあります。
原因がはっきり分からないケースもありますが、内耳の内リンパ水腫などが関係していると考えられています。また、メニエール病と共通する部分がある一方で、両者は同じ病気ではありません。
低音障害型感音難聴では、自然に聴力が改善することもあります。しかし、再び聞こえにくくなることもあるため、「治ったから大丈夫」とは限りません。
特に、突然聞こえ方が変わった場合、耳鳴りやめまいを伴う場合、症状を何度も繰り返す場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳が詰まった感じが続いている場合も、耳垢などの比較的身近な原因から、聴力に関係する病気までさまざまな可能性があります。聴力検査などを受けて、まずは現在の聞こえ方を確認することが大切です。
その他にも難聴について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。



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