朝起きたら、片方の耳だけ聞こえにくい。耳がつまったような感じがして、キーンと耳鳴りもする。そんなときに考えられる病気のひとつが「突発性難聴」です。
この記事では、突発性難聴をはじめて知る人に向けて、症状・原因・治療の流れ、そして「いつまでに病院へ行けばいいのか」をわかりやすくまとめました。
急いでいる人は、まずやることだけでもみていってください!
- 片耳が急に聞こえにくくなったら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう
- 治療は早く始めるほど回復しやすいとされています。目安は発症から1週間以内、できれば数日以内です
- 「そのうち治るかも」と様子を見るより、まず受診して診てもらうのが安心です
- 受診のときは「いつから」「どちらの耳か」「めまいはあるか」「飲んでいる薬」を伝えましょう
難聴については”難聴とは?症状・原因・種類・治療法をわかりやすく解説【セルフチェック付き】“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
突発性難聴とは?
ある日突然、片耳が聞こえにくくなる病気
突発性難聴は、はっきりしたきっかけがないのに、突然耳が聞こえにくくなる病気です。多くは左右どちらか片方の耳に起こり、両耳に起こるのはまれです。
ちなみに片耳だけの難聴を一側性難聴とよびます。一側性難聴については”一側性難聴(片耳難聴)とは?原因・症状・治療と聞こえを補う方法【2026年最新】“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
音は、耳の奥にある「内耳(ないじ)」で電気信号に変えられ、脳へ送られます。突発性難聴は、この内耳がなんらかの理由でダメージを受けて起こる感音性難聴のひとつです。
感音性難聴は単純に音が小さく聞こえるだけでなく、言葉が理解しにくくなります。
感音性難聴については”感音性難聴とは?原因・症状・治療法・補聴器についてわかりやすく解説“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
「突然」というのがポイントで、何日もかけて少しずつ聞こえにくくなるのではなく、朝起きたときや電話をしているときなど、はっきり「このとき」と言えるタイミングで気づく人が多いです
どんな人に多い?
突発性難聴は、子どもから高齢の方まで幅広い年代で起こります。
なかでも50〜60代を中心とした年代に多いとされています。国内では年間7万人以上が発症していると推定されていて、決してめずらしい病気ではありません。
働き盛りの世代にも多いので、「まさか自分が」と思わずに知っておきたい病気です。
突発性難聴の主な症状とセルフチェック
初期症状チェックリスト
次のような症状に心当たりはありませんか?
- 片方の耳だけ、急に聞こえにくくなった
- 耳がつまったような感じ(耳閉感)がする
- 「キーン」「ジー」といった耳鳴りがする
- 自分の声が響いて聞こえる
- ぐるぐる回るようなめまいがある
- めまいと一緒に吐き気がする
難聴・耳のつまり感・耳鳴りが主な症状で、人によってはめまいや吐き気をともなうこともあります。
ひとつでも当てはまり、それが「急に」起きたのであれば、耳鼻咽喉科で一度診てもらいましょう。
なお、このチェックリストは受診の目安を知るためのものです。突発性難聴かどうかは、病院での検査でわかります。
似ている病気との違い
「急に聞こえにくい」という症状は、突発性難聴以外の病気でも起こります。代表的なものを紹介します。
| 病気 | 特徴 |
| 急性低音障害型感音難聴 | 低い音だけが聞こえにくくなる。耳のつまり感が中心で、再発しやすい。 |
| メニエール病 | 回転性のめまい・難聴・耳鳴りを何度もくり返す。 |
| 耳垢(耳あか)のつまり | 耳あかが奥でふさがって聞こえにくくなる。取り除けば戻ることが多い。 |
| 中耳炎 | 耳の痛みや発熱をともなうことが多い |
自分では見分けがつきにくいので、自己判断せずに受診するのがいちばんの近道です。
低音障害型感音性難聴については”低音障害型感音難聴とは?耳が詰まる・低い音が聞こえにくい原因や症状、治療を解説“で、メニエール病については”メニエール病とは 耳鳴りやめまい、難聴を引き起こす病気“で、中耳炎については”【パパママ向け】子どもの中耳炎とは?見逃しやすいサインと受診の目安をやさしく解説“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
突発性難聴の原因

はっきりした原因はまだわかっていない
突発性難聴は、原因がはっきりしない感音難聴をまとめて呼ぶ名前です。
つまり「原因がわからない」こと自体が、この病気の特徴のひとつなんです。現在有力とされているのは、次のような説です。
- 血流障害説:内耳に血液を送る細い血管の流れが悪くなり、音を感じる細胞(有毛細胞)がダメージを受ける
- ウイルス感染説:ウイルスが内耳に炎症を起こす
どちらもまだ確定はしておらず、研究が続けられています。
音を感じる有毛細胞について”有毛細胞とは?なぜ壊れると耳が聞こえなくなるのか|難聴との関係をわかりやすく解説“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
ストレス・疲れ・睡眠不足との関係
はっきりした原因は不明ですが、ストレスや過労、睡眠不足があると起こりやすいことがわかっています。
糖尿病などの持病が影響しているともいわれています。
ただ、これらは「きっかけになりやすい要因」で、ストレスがあれば必ず突発性難聴になる、というわけではありません。
忙しい時期が続いているときは、意識して休む時間をつくってあげてくださいね。
ヘッドホン難聴とは別の病気
大きな音を長時間聞き続けて起こる「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」は、原因がはっきりしているため、突発性難聴とは別の病気として扱われます。
音量の目安や耳の休ませ方は、”騒音性難聴とは 大きい音が耳を傷つけて起こる難聴“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
ライブに行く人はライブでも耳にダメージがあります。”ライブで耳栓は必要?難聴を防ぎながら音楽を楽しむ方法を解説“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
突発性難聴かも?と思ったらまずやること

できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診する
いちばん大切なのは、早めに受診することです。
突発性難聴は、治療を始めるタイミングが早いほど回復しやすいとされています。
発症から1週間以内に治療を始めることがひとつの目安で、気づいたらできるだけ早く、できれば数日以内に受診しましょう。
「疲れているだけかも」「一晩寝たら治るかも」と思いたくなる気持ちはよくわかります。でも、診てもらって何もなければそれで安心できます。迷ったら受診、と覚えておいてください。
耳の専門医がいる病院を選ぶ
耳鼻咽喉科の先生は、耳・鼻・のどのすべてを診ていますが、それぞれ得意な分野があります。
病院のホームページで専門分野を確認しておくと、いざというときに迷いません。
とはいえ、急いでいるときは「近くで今日診てもらえる耳鼻咽喉科」で大丈夫です。必要があれば、そこから大きな病院を紹介してもらえます。
受診のときに伝えること
診察がスムーズに進むよう、次のことをメモしておくと便利です。
- いつから聞こえにくいか(日付・時間帯)
- どちらの耳か
- 耳鳴り・耳のつまり感・めまい・吐き気があるか
- 直前に風邪をひいた、大きな音を聞いたなど、思い当たること
- 今飲んでいる薬や持病(糖尿病・高血圧など)
夜間や休日に気づいたとき
夜間や休日でも、激しいめまいや吐き気で動けない、顔のしびれやろれつが回らないといった症状がある場合は、救急を受診してください。
聞こえにくさだけの場合は、休日診療をしている耳鼻咽喉科を探すか、翌日の診療時間に合わせて受診しましょう。
迷ったときは、救急安心センター(#7119、実施地域のみ)に相談するのもひとつの方法です。
検査と治療の流れ

聴力検査などでほかの病気と見分ける
病院では、まず問診で症状やいつから始まったかを確認します。
そのうえで、ヘッドホンをつけて音が聞こえたら合図をする純音聴力検査で、どのくらい聞こえにくくなっているかを調べます。
めまいがある場合はめまいの検査、ほかの病気が疑われる場合はMRIなどの画像検査を行うこともあります。
聴力検査について”聴力検査の種類一覧|純音聴力検査・ABR・OAEの違いとは?“で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
ステロイド薬による治療が基本
突発性難聴の治療の中心は、炎症をおさえる「ステロイド薬」です。
飲み薬や点滴で使い、1〜2週間ほどかけて少しずつ量を減らしていくのが一般的です。そのほか、血流をよくする薬やビタミン剤などを組み合わせることもあります。
症状が重い場合や、めまいが強い場合は入院して治療することもあります。
そのほかの治療法
医療機関によっては、ステロイドを鼓膜の奥に直接入れる治療や、高い気圧の部屋で酸素を取り込む「高気圧酸素療法」が行われることもあります。
どの治療が合うかは、症状や体の状態によって変わるので、主治医の先生とよく相談してください。
治療中の過ごし方と仕事との付き合い方
治療中は、心と体をしっかり休めることが大切です。
- 睡眠を十分にとる
- 大きな音を避け、静かな環境で過ごす
- 無理をせず、仕事は休んだり負担を減らしたりする
仕事が気になって休みにくい人も多いと思いますが、この時期の休養は治療の一部です。職場には診断書を見せて相談すると、話がスムーズに進みやすいですよ。
突発性難聴の治る確率と回復の目安

突発性難聴の回復の度合いは、人によってさまざまです。一般的には、おおよそ次のようにいわれています。
- すっかり元どおりに治る人:約3分の1
- 完全ではないものの、改善する人:約3分の1
- 改善がみられない人:約3分の1
突発性難聴は早く治療を始めれば改善しやすいと言われますが、残念ながら聴力の改善が見られない人がいるのも事実です。
ただ、発症から1週間以内に治療を始めた場合は、約4割が完治し、約5割に改善がみられるという報告もあります。早めに治療を始めることで、回復の可能性を高められるということですね。
聴力は発症から約1か月で落ち着く(固定する)ことが多いとされています。回復のペースには個人差があるので、焦らず主治医の先生と一緒に経過を見ていきましょう。
なお、高齢の方や聞こえにくさの程度が大きい場合、強いめまいをともなう場合は、回復に時間がかかりやすい傾向があります。
聞こえにくさが残ったときのサポート

治療をしても聞こえにくさや耳鳴りが残ることがあります。でも、聞こえを助ける方法はあるので安心してください。
- 補聴器:片耳の聞こえにくさをサポートするタイプもあります。補聴器について”補聴器とは?初心者向けに種類や値段、選び方を完全ガイド“で詳しく紹介しています
- 耳鳴りのケア:”耳鳴りの治療法は原因により様々 治療方法まとめ“をぜひご覧ください
- 公的な制度:聞こえの程度によっては、補聴器の購入費の助成などが受けられる場合があります。”障害者総合支援法の補聴器補助とは?補装具費支給制度の対象者・自己負担額・申請方法を初心者向けに解説“をぜひご覧ください。
また、聞こえるほうの耳を大切にすることも大事です。大きな音を避ける、耳を休ませる時間をつくるなど、日ごろから少しだけ気にかけてあげてください。
突発性難聴のよくある質問
突発性難聴は自然に治りますか?
自然に回復する人もいますが、どの人が自然に治るかを前もって見分けることはできません。治療は早く始めるほど回復しやすいとされているので、様子を見るより受診をおすすめします。
再発することはありますか?
突発性難聴は、基本的に再発しにくい病気とされています。もし同じような症状をくり返す場合は、メニエール病や急性低音障害型感音難聴など、別の病気の可能性もあるので、受診して相談してください。
両耳に起こることはありますか?
ほとんどは片耳ですが、まれに両耳に起こることもあります。
治療中にイヤホンを使っても大丈夫?
治療中は耳を休ませるのが基本です。音楽や動画はスピーカーで小さめの音にするなど、耳への負担を減らしましょう。使ってよいかどうかは、主治医の先生に確認すると安心です。
子どもでもなりますか?
子どもでも起こることがあります。子どもは「聞こえにくい」とうまく伝えられないこともあるので、片方の耳で電話をしなくなった、呼んでも反応が鈍いなどの変化に気づいたら、耳鼻咽喉科で相談してみてください。
まとめ
突発性難聴は、ある日突然、片耳が聞こえにくくなる病気です。最後にポイントをおさらいしておきましょう。
- はっきりした原因はわかっていないが、ストレスや疲れ、睡眠不足があると起こりやすい
- 主な症状は、片耳の聞こえにくさ・耳のつまり感・耳鳴り・めまい
- 治療はステロイド薬が中心で、早く始めるほど回復しやすい
- 気づいたら自己判断せず、できるだけ早く耳鼻咽喉科へ
「なんだか片耳が聞こえにくいな」と感じたら、それは耳からの大事なサインです。あわてず、でも後回しにせず、まずは受診してみてくださいね。
実は私も、子どもの耳のことで慌てて病院へ駆け込んだことがあります。ある日、子どもが「耳が痛い!」と泣き出したんです。音は聞こえるか確認したところ「聞こえない!」と言うので普段から難聴について調べている私でも、さすがに慌てました。
「もしかして突発性難聴?」という考えもよぎり、すぐに耳鼻咽喉科を受診しました。診断の結果は中耳炎でした。突発性難聴ではなかったので、ひとまずホッとしたのを覚えています。結果的には突発性難聴ではありませんでしたが、早めに受診してよかったと心から思っています。原因がわかってすぐに治療を始められましたし、何より「何の病気かわからない」という不安から早く解放されました。
聞こえにくさの原因は、診てもらわないとわかりません。突発性難聴でも、そうでなくても、早めの受診が安心への近道ですよ。



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