認知症患者の多くは難聴者であり、難聴と認知症の関係は無視できないものになっています。
これは聞こえづらさによるコミュニケーション不足により、会話が減るため脳が活性化されないということが大きな原因と考えられています。
認知症を予防しよう!といった内容のテレビ番組も多く、視聴率もいいことから非常に多くの人が関心を持っていることがわかります。
高齢者施設に伺っても、やはり認知症にならないようにといろいろトレーニングを行っている人も多いですね。
会話をするだけで認知症を予防できたらそれこそ簡単でよくないですか?
ここでは認知症と難聴の関係について詳しくみていきたいと思います。
あなたもすぐに理解できる 難聴とは音が聞こえづらくなる症状という記事で難聴について詳しく解説しています。
認知症予防のために難聴についてもしっかりと理解しましょう。
認知症の要因について
イギリスにLancetという医学学会誌があります。
その学会誌の中に認知症の原因となる要因とそのパーセンテージが記載されておりました。
難聴が原因で認知症になっている割合は なんと9%!!
全体で一番大きなファクターとなっています。
その他の要因で挙げられている生活習慣は
- 高血圧
- 肥満
- 喫煙
- うつ
- 運動不足
- 社会交流
- 糖尿病
となっており、難聴の次に大きな要因となっているのが喫煙の5%です。
単純に喫煙者の倍、難聴者は認知症になるリスクが高いということです。
今、認知症と診断されている方の1割は難聴が原因ということですね。
もちろん体の不調などはすべて関係しているので生活習慣病が難聴に起因していたりもしますが、難聴になったら認知症のリスクが高まるのは間違いなさそうです。
そもそも認知症なのか?
現在の認知症の検査は主に口頭質問で行われています。
医者が口頭で質問をして、質問の内容に対して応答があるかというような検査です。
しっかりとした問答ができたら点数がつき、その点数によって正常か軽度認知症かもっと重いかを判断しています。
勘のいいみなさんならもうお分かりだと思いますが、難聴では正常に問答できません。
なぜなら聞こえないから。
ただ、何を言っているか聞こえなくて答えられないだけでも点数は下がり認知症と診断されてしまうのです。
これが非常に問題になっています。
最近は免許の更新の際にも簡易的な認知症の検査を行います。
そこで点数が悪いと免許が更新できません。
もちろんこの時も口頭での検査になります。
以前、免許の更新に訪れた高齢者が軽度認知症の疑いがあるとして免許の更新ができませんでした。
しかし、後でその方がただ聞こえていなかっただけだと不服を申し立てましたが、すでに免許は返納済みで問題になりました。
国は認知症の検査の仕方を早く変えなければこのような事例はもっと出てくるはずです。
認知症の患者さんには薬が出されています。
このように聞こえていないだけなのに、軽度認知症と誤診されて薬が投与されている方がいらっしゃるはずです。
自分が聞こえにくいだけで認知症でもなんでもないのに、認知症の薬を飲まされたらどうですか?
もちろん私は嫌です。
とにかく早く整備されることを期待しています。
難聴と認知症の関係
難聴と認知症が誤診されていることが分かっていただけたと思います。
ではなぜ難聴が認知症の原因の9%も占めるのでしょう。
人間の体の大部分は使わないとどんどん衰えていきます。
肘やひざなどもギプスで固定されていると固まってしまいますし、筋肉も衰えていきます。
脳も同じで使わないともちろん衰えていきます。
音声コミュニケーションは非常に脳を使います。
- 相手が何を言っているのかを聞く
- 言われたことを短期記憶に保存する
- 過去の記憶から何を言っているのかを参照
- 言われたことを理解できたので自分が何を言うかを考える
- 文章を構成
- 口に出す
一瞬でこれだけの処理をしているんですね。
脳の処理速度は本当に早いです。
これが難聴になると1番はじめの相手が何を言っているのかを聞くのにものすごく労力を使ってしまいます。
すると相手の言葉を短期記憶に入れられません。
相手の言ったことが短期記憶に残らないと、相手が何を言ったのかを理解できなかったり思い出せません。
するとなんと返せばいいかわからないので返事ができません。
また、難聴になってしまうと音が入ってこないので音を忘れてしまいます。
そうすると音としては聞こえていても言葉に結び付かなくなってしまいます。
音と言葉が一致しないといくら聞こえても意味が理解できません。
するとやはりコミュニケーションがとれなくなってしまいます。
このようにしてどんどんコミュニケーションが減り、脳が衰えていってしまいます。
加齢でも脳は衰えますが、難聴が脳の衰えを加速させてしまいます。
認知症は病気のように言われていますが云わば脳の衰えです。
耳や目や足が衰えるように脳も衰えるのです。
それを大袈裟に煽っているだけで自然の流れです。
ただ、それをなるべく抑えて健康寿命を伸ばしたい。
それならば少しでもトレーニングをするしかありません。
難聴になると、そのトレーニングが難しくなるので認知症のリスクが高まる。
そのように理解できます。
認知症予防にトレーニング
聞こえに問題があるために、コミュニケーションがとれず衰えてしまうことを先ほどお伝えしました。
それでは認知症予防のためにしっかりと会話をしてあげましょう。
しかし、中途の難聴の方はなかなか補聴器をつけてくれないという問題もあります。
そんな時には、周りの人がなるべく聞き取りやすい環境をつくってあげるといった配慮をしてあげるといいでしょう。
特に、すでに認知症が初期の場合には補聴器を使うことは困難です。
こういった症状がある場合、極端に新しく身に着けるものを拒む傾向にあります。
詳しくは認知症の人は補聴器がつけられないの記事で解説しているので参考にしてください。
また、新しい習慣を覚えることが苦手なので、補聴器をつける、電池を変えるなどの動作が苦手になります。
また、補聴器を使っても残念ながらよく聞こえていたときと同じように会話が聞こえるようにはなりません。
もちろん、それに近づけるように補聴器屋さんが調整をしてくれます。
ですが、完ぺきにきこえるようになるかというとそんなことはありません。
以前と同じように聞こえると思って、補聴器を使うと途中であきらめてしまう人も多いです。
ですが、ここで補聴器を使わなくなってしまうと、余計に会話が減ったりして認知症のリスクが高まってしまいます。
補聴器は3か月もすれば、しっかりと調整ができ、違和感も少なくなります。
なるべく早い段階で補聴器や、集音器などを使って聞こえる環境をつくってあげることが重要です。
まとめ
認知症とは脳の衰え、難聴になるとコミュニケーションがとりづらくなり脳のトレーニングがしにくくなる。
そのように考えるとすごくシンプルじゃないですか?
認知症と難聴、その他体の不調についての関係を学んでみるのも面白いものです。
ただそうやって学び、家族との接し方を見つめ直し、自身や家族の健康寿命を伸ばせたらいいですよね。
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