「さっきまで元気だったのに、夜中に急に泣き出して耳を触っている…」子育てをしていると、こんな場面でドキッとすることがありますよね。そんなときに疑いたいのが中耳炎です。
中耳炎は子どもがとてもなりやすい耳の病気で、特に風邪をひいたあとに起こりやすいのが特徴です。きちんと治療すれば多くは1〜2週間ほどで良くなります。
ただし、そのままにしておくと長引いたり、聞こえに影響が出たりすることもあります。
この記事では、耳のことをあまり知らないパパママでもわかるように、次のことをやさしく解説します。
- 中耳炎ってそもそもどんな病気?
- 見逃しやすい子どものサイン
- 病院に行くタイミングと治療の流れ
- おうちでできる予防のコツ
我が家の息子も中耳炎になったことがあるので、そのときの体験もまじえてお話しします。
中耳炎ってどんな病気?
中耳炎は、耳の奥にある「中耳」という場所に細菌やウイルスが入り込んで、炎症が起こる病気です。名前はよく聞くけど、実際どんなものかはよく知らない…という方も多いのではないでしょうか。
耳のしくみをかんたんに
耳は大きく3つのパーツに分かれています。

- 外耳(がいじ):耳の穴から鼓膜までの通り道
- 中耳(ちゅうじ):鼓膜の奥にある小さな部屋。音を伝える小さな骨があります
- 内耳(ないじ):さらに奥にあり、音を脳に伝える信号に変えるところ
中耳は「耳管(じかん)」という細い管で鼻の奥とつながっています。風邪で鼻や喉にいた細菌やウイルスが、この耳管を通って中耳に入ってしまう。これが中耳炎の主な原因です。
なぜ子どもはなりやすいの?
子どもは大人に比べて、耳管が太く・短く・水平に近い形をしています。そのため、鼻や喉の細菌やウイルスが耳に入り込みやすいんです。
さらに、子どもはよく風邪をひきますし、鼻水が出ていても上手に鼻をかめません。鼻をズルズルすすってしまうと、鼻の奥の菌が耳のほうへ押し込まれやすくなります。
成長とともに耳管の形が大人に近づくので、小学生くらいになると自然とかかりにくくなっていきます。
見逃さないで!子どもの中耳炎のサイン

中耳炎の代表的な症状は、耳の痛み・発熱・耳だれ・聞こえにくさの4つです。耳だれとは、耳の穴から膿(うみ)のような液が出てくることです。
ただ、小さい子は「耳が痛い」とうまく言えません。年齢ごとに、こんなサインに気をつけてみてください。
赤ちゃん(まだ言葉が出ない時期)のサイン
□しきりに耳を触る、引っ張る
□いつもより機嫌が悪く、ぐずりが続く
□夜中に急に激しく泣き出す
□熱がある
□耳の穴から液が出ている、枕に黄色っぽいシミがつく
幼児(おしゃべりができる時期)のサイン
□「耳が痛い」「耳がへん」と言う
□名前を呼んでも反応しないことが増えた
□テレビの音を大きくしたがる
□聞き返しが多くなった
□聞きやすいほうの耳をこちらに向けて聞こうとする
我が家の場合
うちの息子も中耳炎になったことがあります。風邪をひいていたある日、急に「耳が痛い」と言い出しました。「音、聞こえる?」と聞いてみると「聞こえない」との返事。すぐに耳鼻科に連れて行ったら、中耳炎と診断されました。
風邪をひいているときに耳を気にし始めたら要注意です。
中耳炎の種類と特徴
一口に中耳炎といっても、主に3つの種類があります。特にパパママに知っておいてほしいのが、痛みがなくて気づきにくい「滲出性中耳炎」です。
| 急性中耳炎 | 滲出性中耳炎 | 慢性中耳炎 | |
| 痛み | あり | ほぼなし | 少ない |
| 熱 | 出ることが多い | なし | ほぼなし |
| 気づきやすさ | 気づきやすい | 気づきにくい | 耳だれで気づく |
| 聞こえへの影響 | 一時的に聞こえにくくなる | 聞こえにくい状態が続きやすい | 長く続き、悪化することも |
急性中耳炎
一番よくあるタイプで、いわゆる「中耳炎」はたいていこれです。風邪で鼻や喉に炎症を起こした細菌やウイルスが、耳管を通って中耳に入ることで起こります。
1〜2歳ごろの子どもに特に多く、耳の痛み、発熱、聞こえにくさが主な症状です。中耳に膿がたまって鼓膜が破れると、耳だれが出てくることもあります。
滲出性中耳炎

漢字が難しいですよね。「しんしゅつせい」と読みます。
鼓膜の奥に「滲出液(しんしゅつえき)」という液がたまってしまう状態です。急性中耳炎のあとに液だけが残ったり、鼻炎や副鼻腔炎、アデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)が腫れたりして、耳の換気がうまくいかなくなることで起こります。
やっかいなのは、痛みも熱もないこと。
主な症状は「聞こえにくい」「耳がつまった感じがする」くらいなので、周りがなかなか気づけません。
呼んでも返事をしないと、「遊びに夢中なのかな」「聞いてないフリかな」と思ってしまいがちですよね。でも実は、聞こえていないのかもしれません。
返事がないことが続くようなら、一度耳鼻科で相談してみましょう。滲出性中耳炎の診断には、ティンパノメトリーという鼓膜の動きを調べる検査がよく使われます。
ティンパノメトリーについて詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
慢性中耳炎
中耳の炎症が長く続いている状態です。鼓膜に穴があいたままふさがらず、耳だれや聞こえにくさがだらだらと続きます。
中には、鼓膜の一部がへこんで周りの骨を少しずつ壊してしまう「真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)」という病気に進むこともあります。こうなる前に、しっかり治しておきたいですね。
すぐ病院に行くべき?受診の目安

中耳炎かも?と思ったら、基本は耳鼻咽喉科(耳鼻科)を受診しましょう。小児科でも診てもらえますが、鼓膜の状態をくわしく見たり、鼻水を吸ったりする処置は耳鼻科が得意です。「そのうち治るかな」と様子を見すぎないことが大切です。
早めに受診したいケース
- 耳を痛がる、しきりに耳を触る
- 耳だれが出ている
- 風邪のあとに、呼びかけへの反応が悪い状態が続く
急いで受診したいケース
- 38.5℃以上の高熱が続いている
- ぐったりしていて元気がない
- 耳の後ろが赤く腫れている、耳が前に押し出されているように見える
- めまいがする、顔の動きがおかしい
夜中や休日に痛がりだしたら
中耳炎の痛みは、なぜか夜に強くなりがちです。夜中に泣かれると焦りますよね。
- 熱がなく元気そうなら、医師から処方されている解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)で痛みをやわらげ、翌日に耳鼻科へ
- 耳の後ろを、タオルで包んだ保冷剤で冷やすと少し楽になることがあります
- 迷ったら、子ども医療電話相談(#8000)に電話すると、看護師さんや小児科医から受診すべきかアドバイスをもらえます
耳だれが出ていたら、耳の入口から出てきたものだけをガーゼでやさしく拭きましょう。綿棒で奥まで掃除するのはNGです。
病院ではどんな治療をするの?

治療の方法は、中耳炎の種類や重さによって変わります。「手術」と聞くとドキッとしますが、ほとんどの場合はお薬や外来での処置で済みます。
急性中耳炎の場合
- 軽い場合:抗菌薬(抗生物質)は使わず、痛み止めを使いながら2〜3日ほど様子を見ることがあります。軽い中耳炎は自然に治ることも多いためで、日本のガイドラインでもこの方法がすすめられています
- 中くらい〜重い場合:抗菌薬を飲んで治します
- 鼻水が多い場合:耳鼻科で鼻水を吸ってもらうことも、治りを早めるのに役立ちます
- 痛みや熱がとても強い場合:鼓膜を少しだけ切って、たまった膿を出す処置(鼓膜切開)をすることもあります。切ったところは数日でふさがります
通常は1〜2週間ほどで良くなります。
抗菌薬を出されたら、症状がおさまっても自己判断でやめず、最後まで飲み切りましょう。途中でやめると治りきらず、滲出性中耳炎に移ったり、ぶり返したりする原因になります。「もう治ったかな?」と思っても、医師にOKをもらうまで通院を続けることが大切です。
滲出性中耳炎の場合
まずは原因になっている鼻炎や副鼻腔炎の治療をしながら、3か月ほど様子を見ることが多いです。自然に液が抜けていくことも少なくありません。それでも液が抜けず、聞こえにくさが続く場合は、次のような治療をすることがあります。
- 鼓膜切開:鼓膜に小さな穴をあけて液を出す
- 鼓膜換気チューブ留置術:鼓膜に小さなチューブを入れて、中耳の空気の通りをよくする。数か月〜2年ほど入れておくのが一般的です
慢性中耳炎の場合
耳だれにはお薬(点耳薬など)で治療しますが、鼓膜の穴がふさがらない場合は、手術で鼓膜を閉じたり、聞こえを改善したりします。
このように、急性中耳炎の段階なら比較的かんたんな治療で済みます。こじらせる前に、早めに受診して最後まで治しきることが一番の近道です。
中耳炎と「聞こえ」の関係

中耳炎になると、中耳にたまった膿や液が音の振動をじゃまするので、一時的に聞こえにくくなります。これは「伝音性難聴(でんおんせいなんちょう)」と呼ばれるタイプの難聴で、早期に治療することで多くは聞こえも改善する可能性があります。
伝音性難聴について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
気をつけたいのは「長引くこと」
問題になるのは、滲出性中耳炎などで聞こえにくい状態が長く続く場合です。子どもは、まわりの言葉をたくさん聞いて言葉を覚えていきます。聞こえにくい時期が長く続くと、次のような影響が出ることがあります。
- 言葉の発達がゆっくりになる
- 発音がはっきりしない
- 保育園や学校で、先生の話が聞き取りにくい
特に両耳とも滲出性中耳炎になっていると、影響が大きくなりやすいです。
「呼んでも反応しない」は大事なサイン
子どもは「聞こえにくい」と自分から言うことがほとんどありません。生まれつきそうだったり、少しずつ聞こえにくくなったりすると、本人はそれが当たり前だと思っているからです。だからこそ、パパママの「あれ?」という気づきがとても大切です。
「最近、呼んでも反応が悪いな」と感じたら、気のせいかな…と思わずに耳鼻科で聞こえをチェックしてもらいましょう。
子どもの難聴について詳しく紹介した記事があるので、ぜひご覧ください。
おうちでできる中耳炎の予防
中耳炎を100%防ぐことはできませんが、なりにくくする工夫はいくつかあります。
- 鼻水はこまめに取る:自分で鼻をかめない赤ちゃんには、鼻吸い器が便利です。鼻水をためないことが一番の予防になります
- 鼻をすすらせない、強くかませない:すすったり勢いよくかんだりすると、鼻の奥の菌が耳に押し込まれやすくなります。かむときは片方ずつ、やさしくがコツです
- 寝かせたままミルクを飲ませない:寝転んだ姿勢で飲むと、ミルクが耳管のほうへ流れ込みやすくなります。少し頭を高くして飲ませましょう
- おしゃぶりは長く使いすぎない:おしゃぶりを長時間使うと、中耳炎になりやすくなるといわれています
- タバコの煙を避ける:受動喫煙は中耳炎のリスクを高めます。パパママの禁煙も立派な予防です
- 予防接種を受ける:中耳炎の原因になる肺炎球菌などのワクチンを、スケジュールどおり受けておきましょう
- 風邪は早めに治す:「ほっとけば治る」と放っておかず、長引くようなら受診しましょう
保育園などに通い始めると、どうしても風邪をもらいやすくなります。中耳炎を繰り返すのはパパママのせいではありません。できることを無理のない範囲で続けていきましょう。
よくある質問
中耳炎ってうつるの?
中耳炎そのものは人にうつりません。ただし、中耳炎のきっかけになる風邪はうつるので、兄弟やお友達と同時期にかかることはよくあります。
保育園は休んだほうがいい?
中耳炎だけなら、熱がなく元気であれば登園できることがほとんどです。熱や強い痛みがあるときは、おうちで休ませてあげましょう。園によって決まりが違うので、確認しておくと安心です。
お風呂やプールに入っても大丈夫?
熱がなく元気なら、お風呂は普段どおりで大丈夫なことが多いです。シャンプーのお湯が少し耳に入っても、中耳炎が悪くなることはまずありません。耳だれが出ているときや、鼓膜にチューブが入っているとき、プールに入りたいときは、医師に確認しましょう。
飛行機に乗っても大丈夫?
中耳炎のときは、離着陸の気圧の変化で耳の痛みが強くなることがあります。旅行の予定があるなら、事前に耳鼻科で相談しておくと安心です。
何度も繰り返すのはなぜ?
子どもは耳管の形がまだ未熟で、風邪もひきやすいためです。特に2歳くらいまでは繰り返しやすい時期です。何度もかかる場合は、原因(鼻の状態や集団保育の環境など)も含めて耳鼻科の先生と相談してみてください。
まとめ:「あれ?」と思ったら早めに耳鼻科へ
中耳炎は、子どもなら誰でもなる可能性があるとても身近な病気です。早めに見つけて最後まで治しきれば、怖い病気ではありません。
最後に、覚えておきたいサインを3つにしぼっておきます。
- 耳を触る・夜中に急に泣く(特に風邪をひいているとき)
- 呼んでも反応しない・テレビの音を大きくする
- 耳から液が出ている
ひとつでも当てはまったら、「そのうち治るかな」で済ませずに耳鼻科を受診しましょう。



コメント